Selected Entries
Categories
Archives
Profile
森川(記者)

本を売り、本を読む日々。
詳細

散 漫 帖

本と映画と妄言と
<< スーパーマーケットマニア ヨーロッパ編(森井ユカ/講談社) | main | ギャグマンガ日和―増田こうすけ劇場 1(増田こうすけ/集英社) >>
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

Posted by スポンサードリンク
- / / - / -
罪と罰(ドストエフスキー/新潮文庫)
評価:
工藤 精一郎,ドストエフスキー
新潮社
 短大時代に一度読んでいたものの、「金貸しの婆さんを殺して悩む」くらいしか覚えていなかったので再読しました。
 意外と最初の方で婆さんを殺していて吃驚。有名なのはこのシーンですが、物語の本当の始まりはその後からです。 

 「一つの極些細な犯罪は、その後の百の善行によって帳消しにされる」とか、「非凡な人間を裁く法律は存在しない(というか、裁く基準を越えてしまっている)」とか、色々理屈を並べながらも、いざ婆さんを殺してみると、孤独に苛まれている自分を発見する。頭は良いんだけれど、傲慢で自意識過剰な青年ラスコーリニコフが、いかにして他人を受け入れ、自分の凡庸さを認めるまでの物語かなぁと思いました。
 ラスコー君の考えには賛成出来ないけれど、ラスコー君がそう考えるに至った気持ちは分からなくはないなぁ…というか、「自分は他人とは違うんだ」と思わないとやっていけない時期というのは、誰しもあるんじゃないでしょうか。でも孤独には耐えられず、やっぱり誰かと共有し合って生きていたい…という流れになるのではないかと。
 それにしても、ラスコー君が罪を悔いるまでの過程が長い長い。あっさり反省せずに、自分の行いや考えを正当化しようと必死になっているところとか、リアルですね。その分、最後の最後にソーニャと共に罪を悔いる人生を生きよう、という気持ちに至るシーンが映えます。やっぱり泣くなぁ。

 とは言え、物語自体は好きですが、ラスコー君のことは最後まで好きになれず、他の作品と比べてのめり込み度が若干低いです。しかし、わきキャラの個性が光っている点では、ダントツの1位です。
 中でもマルメラードフは、冒頭ほんの少しだけしか出てこないにも関わらず、自分の中ではドスト作品の中でも一、二を争うほどの強烈なキャラです。どん底もどん底で飲んだくれているどうしようもないオッサンなんですが(挙句の果てには、馬車に轢かれて死んでしまう…)、彼の台詞はラスコー君の理論を軽くぶっ飛ばしてしまってます。
 他にも、ソーニャ、ドゥーニャ、スヴィドリガイロフ、ラズミーヒン、ルージン、ポルフィーリイなどなど、わきキャラながら忘れがたい面々が揃っています。

 江川卓訳の方が読みやすいですが、工藤精一郎訳は何よりも「これがうれしいんだよ! 苦痛じゃないんだ、う、うーれしいんだよ学生さん」(byマルメラードフ)の名訳が冴えています。
Posted by pareidolie21
小説(海外) / 00:49 / comments(0) / -
スポンサーサイト
Posted by スポンサードリンク
- / 00:49 / - / -
COMMENT