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森川(記者)

本を売り、本を読む日々。
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散 漫 帖

本と映画と妄言と
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明かりを灯す人(アクタン・アリム・クバト監督/キルギス他)
  キルギスの田舎の、そのまた田舎の村で暮らす電気屋が主人公。
 主な仕事は配電工事で、貧しくて電気代を払えない家には、よそからこっそり電気を盗んできたりする(そして、警察にブチ込まれたりする)。谷間に吹く風を利用し、風車発電で村中に電気を安定供給するのが電気屋の夢。しかし金はないので、日々食っていくのがやっとの有様。
 のどかな楽園のような村でも、仕事がないため若い人たちはロシアや中国に出稼ぎに行ったまま帰ってこない。衰退していく村に、外界から波が追い打ちをかけるように押し寄せてくる。外の世界が叫ぶ豊かさのイメージに、電気屋は付いていけない。

 地味系映画なので、ストーリーも起伏に乏しく、でもそれで良い作品。
 電気屋のおっさんに幸多かれ、と願わずにいられないですが、そのような続きを思い描くのがちょっと難しい…おっさん、良い笑顔なんだよな。
 おっさんの嫁さんも、見ていて「心底おっさんのことが好き」というのが伝わってきて良かったです。地味ながら良い俳優揃いだったなぁ。
 でっかいウラル山脈とだだっ広い野っぱら見ていると、色々シビアな内容でありながらも、もうこれだけで良いや…って気分になってしまいます。

 

Posted by pareidolie21
映画(海外) / 17:50 / comments(0) / -
十二月に観た映画
『ファイトクラブ』(デヴィッド・フィンチャー監督/アメリカ)
『ワイルド・アット・ハート』(デイヴッド・リンチ監督/アメリカ)

 地味にデヴィッド祭りでした。
Posted by pareidolie21
映画(海外) / 11:45 / comments(0) / -
パリ20区、僕たちのクラス(ローラン・カンテ監督/仏)
 今年のカンヌ映画祭でパルム・ドールを受賞した作品。久し振りに劇場にて鑑賞。

  パリ20区にある中学校の一クラスを一年間追った、ドキュメンタリー風の作品。ストーリー性は薄いが、自分もそのクラスの一員になって一年過ごしたような気分になってくる。もっとも私の場合は、自分が中学生だった頃を思い出して若干鬱な気分になったが(笑)。
 「金八」とは違い、このクラスの教壇に立つフランソワは「教師」になりきれていない。生徒のことを理解したいと強く思うが、反抗的な態度を取り続ける生徒に対してブチ切れそうになったり、かなり際どい発言をして逆に生徒に遣り込められそうになったり…。
 人相手の職業は大なり小なり「●●という職業の人」を演じている部分があって、教師というのはその要素が結構大きいんじゃないかと思う。しかし思春期頃の生徒は教師であるその人とその人本来との間に生じる矛盾を敏感に察知し、容赦なく追及してくる。フランソワと生徒たちのやり取りは、時に盤石と思われていた「教師」の立場をぐらつかせる。
 他にも色々考えたりしたが(思った以上に多国籍なクラス…実際のクラスもあんな感じなんだろうか? 日本ではまず見ないだろう光景)、それはまた別のところで。面白いかと言われると、うーん…エンタメ的な面白さはないけれど、観た後あれこれ考えたくなる面白さはある。あと、世にはびこる「こんな教師いねーよ!」ってドラマや映画にうんざりしている人には楽しめるかもしれない(笑)。
Posted by pareidolie21
映画(海外) / 22:33 / comments(0) / -
フィールド・オブ・ドリームス(フィル・アルデン・ロビンソン監督/アメリカ)
 アイオワで農業を営むレイは、ある日畑で不思議な声を聞く。「それを作ると、彼がやってくる…」初めは混乱するものの、やがて野球場を作ると往年の名選手がそこに現れると解釈し、畑を潰して野球場を作る。しかし、何事も起きず、家計も苦しくなり、野球場を撤去しようと思いかけた時、奇跡は起こった…

 淀川さんの映画本でオススメされていて気になった作品。
 「お告げを受けて、畑潰して野球場を作ったら、往年の名選手の幽霊たちが野球をしに来る」という、シンプルながらかなりぶっ飛んだストーリー。スピリチュアル系の話だったら嫌だな…と思っていたけど、宗教とか精神世界とか、そういう要素はそれほど気にならなかったです。
 お告げを受けて〜というものの、お告げの言葉自体はかなり曖昧。それが具体的に何を指しているのかは、主人公自身が考えなければならない辺り、精神分析的な要素が感じられます。最初は八百長をしたという無実の罪でメジャーを追放された選手を呼ぶために野球場を作ったはずが、巡り巡って、分かりあえないまま死に別れてしまった父との再会で終わるところとかね。自分の本当の願いに気付くまでの道のりを描いた作品でもある…あれ、やっぱりスピリチュアル入ってるか? 
 突っ込みどころ満載ではあるものの、有無を言わせぬストーリー展開であった。というか、楽しそうに野球やっている幽霊たちを見ていると、そんなことはどうでも良くなってくる(笑)。良いか悪いかという判断が付けにくい作品であるが、また観たいかというとそうでもないので(テレビでやってたら観るかもしれないが)、星は三つで。
Posted by pareidolie21
映画(海外) / 02:27 / comments(0) / -
ゴッドファーザー I(フランシス・コッポラ監督/アメリカ)
 イタリア系マフィアで絶大な勢力と信頼を誇っている「ゴッドファーザー」ことビト・コルレオーネ率いるファミリー。しかし、水面下では配下のファミリー間の不信、裏切り、権力争いが渦巻き、一触即発の状態が続いていた。そんな中、コルレオーネが敵対するファミリーに狙撃され、重傷を負う。彼の三人の息子は復讐を誓うが…

 あまりにも有名な作品。でも、その有名さと尺の長さ(190分)に触手が伸びずにいた作品でもある。
 観るまでは、「男のロマン」的世界(何故かドン・コルレオーネは「ワインレッドのガウン着てて、ブランデーを揺らしながら葉巻吸っている」イメージ…我ながら貧困)なんだろうなーと思っていたが、ロマンだけでなく男として生きていくことのシビアな面も描かれていた。
 マフィアものなので、裏社会での権力争い、裏切り裏切られ、血で血を洗う闘争…がストーリーの流れを形作ってはいるものの、真のストーリーは「男としてどう生きるべきか」ということなんだろう。
 その集約として、ドン・コルレオーネの「家族を大切にしない奴は、男ではない」という言葉。家族というのは、勿論自分の家族であり、ファミリーであり、更にはアメリカに渡って来たイタリア人の同朋達である。ドン・コルレオーネは正に、強き父的存在。懐のデカさで弱き者、慕ってくる者を被護する一方、家族の安全を脅かす者、裏切り者には容赦ない制裁を加える。絶対的な正義ではないが、こういう人物に人は付いていくだろう。マーロン・ブランドの演技が素晴らしい。
 さて、そんな偉大なる父の跡を継ぐことになった息子たち。長男ソニーは血の気が多い問題児だが、どこか憎めない兄貴分的存在。二男フレドは気の弱さ故、チンピラ的生活に甘んじている。末息子マイケルは、自分は堅気として生きていくものと思っている。しかし、父の復讐を決心した時から、彼の運命は大きく変わってしまう…冒頭シーンでの無邪気な青年が、ラストシーンでは重く強い眼を持つマフィアのドンに変わっている恐ろしさ。若きアル・パチーノの演技もまた素晴らしい。
 演出も素晴らしく、特に音楽が良い。シチリアの明るいがどこか物悲しい民族音楽が、一族のルーツを想起させる。

 余談…自分の立場が危うい時は、背後に気を付けるべし。特に、車の助手席には無防備に乗ってはならない。

※補足…三部作通して観た後考えるに、「男のロマン」を求める人は吃瑤里澳僂襪海箸鬚奨めします。局以降は男の悲劇の物語です。
Posted by pareidolie21
映画(海外) / 23:57 / comments(0) / -
苺とチョコレート(トマス・グティエレス・アレス監督/キューバ)
 カフェでチョコレートアイスを食べていたダビドに、苺アイスを食べていたディアゴが声をかける。明らかにゲイであるディアゴに、ダビデは嫌悪感をむき出しにするものの、言葉巧みに彼の部屋へ招かれる。そのことを共産主義の友人に話したところ、スパイするよう言われ、ダビデは渋々ながら再びディアゴの部屋を訪れるが…

 以前『物語の作り方』で、この作品が出来上がるまでのいきさつを知り、観たいと思っていた作品。
 ノンケの共産主義の青年と、ゲイの反体制的思想の中年…『蜘蛛女のキス』を彷彿とさせますが、あそこまで閉鎖的な雰囲気ではなく、色んな方向へ広がっていくような内容でした。
 演出はさすがに古臭い感じがするものの、俳優陣が良い仕事しています。特に、ディアゴ役の俳優が良いです。基本的におねぇキャラで陽気で優雅な物腰だけど、自分の信念を貫き通そうとする姿は男の中の男。その複雑さを上手く演じています。
 性的趣向や政治思想といった、日本だったらなるべく当たり障りなく、話題としてはまず上らないであろうことを、正面切って直球でぶつけ合う様は凄まじいものがあります。もちろん、それで傷つくこともあるけれど、そうしなければあのラストシーンには辿りつかないんでしょうね。観ていて辛いけど、眩しくもある。 
 ラストシーンが素晴らしいです。ここに至るまでの経緯を見た後に観ると、ブァーッとこみ上げるものがあります。ハッピーエンドではないかもしれないけれど、希望のある終わり方です。

Posted by pareidolie21
映画(海外) / 23:54 / comments(1) / -
レスラー(ダーレン・アロノフスキー監督/アメリカ)
 かつて名声を欲しいままにした人気プロレスラー、ランディ"ラム"ロビンソン。中年になった今は田舎の小さな試合をドサ回りし、バイトでどうにか食いつないでいる。ある日の試合後、ランディは心臓発作を起こし倒れる。再起は無理だと言われ引退を決心した彼は、馴染みのストリッパーに薦められ、絶縁状態にある娘の元を訪ねる・・・

 これは…何というか…大変ヘヴィーな話だった。
 スターが落ちぶれて〜というパターンは良くあるけれど、この話は筋はありがちなのに一つ一つのエピソードがズッシリくる。さらっと観られない。
 それは、役者陣の渾身の演技によるのだろう。他のレビューでも散々書かれているが、ランディとミッキー・ロークが重なって見える。あの「落ちぶれた感」は演技では出せない。馴染みのストリッパー役の女優も、色気より生きるために必死になって踊る顔が強烈だった。彼女もかつてオスカーを獲ったことがあったのか。そして、ランディの娘を演じる女優もまた、若いながら薄幸さが漂う面差しをしていた。いかにも超低予算っぽい映像処理の仕方が、また妙な現実味を生んでいた。
 似たようなストーリーでルコントの『タンデム』が思い浮かんだけれど、あれは最後に友情が残っていた。でも、ランディには何も残されていなかった。しかも、それは彼の愚かさが招いた結果なのだから救われない。ラストシーン近くでの「俺にとっては、外の世界のほうが(心臓発作の痛みよりも)よっぽど辛い」というセリフが切ない。ああでも、そうであるならあのラストは彼にとって救いのあるものだったのかもしれない。ボロボロではあるけれど、ある意味潔い人生かもなぁ。

 結構本気な流血シーンや、ほぼ全裸のストリップシーンがあるためにR15指定になっているが、精神的にはR40指定でも良いんじゃないかと。正直、理解出来ない部分もあった…というか、この歳で理解出来てしまうのも問題だろう。
Posted by pareidolie21
映画(海外) / 01:58 / comments(0) / -
罪と罰(レフ・クリジャーノフ監督/旧ソ連)
 市内のミニシアターで上映していたのを観に行きました。

 昼間の回だったので結構人がいたけれど、年齢層かなり高めでしたねー。元文学青年たちに占拠され、現文学青年は若干肩身が狭かった。
 内容は…うーん、微妙。三時間近くあるにも関わらず、話がまとまってなくて、原作知らずに観たら何のこっちゃ? となりそう。黒澤明の『白痴』もだけど、映画であの時間感覚を表現するのって難しいんだろうなぁ。映画にしたら面白そうなストーリーなんだけど。
 ポリフィーリィ役を『ハムレット』でハムレットを演じていた俳優が演じていました。ハムレットの時は、おっさん臭いなーと思ったけど、今回はおっさんになってました(笑・ハムレットの時は、スタイル抜群だったのになぁ…)。歳取ってからの方がいい顔になったと思います。演技は相変わらず良かったです。ラスコーリニコフ役の俳優は、目がイッてて怖かったです。挙動不審すぎる。
 ストーリー的にはいまいちでしたが、あの当時のペテルブルグの雰囲気を知るには良かったです。ラスコー君の部屋のボロさ加減が凄まじい…部屋っていうか、洞窟?

評価:★★★
Posted by pareidolie21
映画(海外) / 22:28 / comments(0) / -
ホルテンさんの大冒険(ベント・ハーメル監督/ノルウェー)
 真面目で内向的な鉄道運転手のホルテンさん、定年最後の日にまさかの遅刻! が、そこからホルテンさんのちょっとした、でも人生を変える大冒険が始まった…

 前に雑誌のお知らせで見て、ちょっと期待していたのですが、いまひとつでした。期待していた内容と随分違っていたのもありますが。90分でも長かった…。
 主役のホルテンさん、いたって普通のおじさんですが案外突っ込みどころ満載です。生涯一度の遅刻で何かが吹っ切れたのでしょうか。それにしても、「そ、それはどうなの!?」と思うような行動ばかり。ストーリーも地味ながら、ストーリーと関係ないところがかなりシュールです。
 OPの、雄大なノルウェーの雪原を走る列車のシーンが一番良かったです。音楽と相まって、旅愁を掻き立てられました。いいよねぇ、鉄道の旅って。

 北欧映画、ストーリーは悪くないですが、如何せん寡黙です。北国の人って、基本寡黙なんでしょうか(ただし、ロシア人は除く)。
Posted by pareidolie21
映画(海外) / 00:58 / comments(0) / -
プリシラ(ステファン・エリオット監督/オーストラリア)
 三人のゲイ(というか、ドラッグクイーン)が興行のために、オーストラリアの砂漠をオンボロバスで爆走する! というと、あらすじだけでもお腹いっぱいになりそうですが、良い映画でした。
 恋人に死なれ傷心のおばさま的なバーナデッド(テレンス・スタンプ)、実は妻子持ちであることを悩むミッチ(ヒューゴ・ヴェービン)、いつでもテンションの高いフェリシア(ガイ・リッチー)…キャストも凄いです。この三人の他に、砂漠の町で出会う自動車整備士のおっちゃんとか、ミッチの嫁さんとかも良いキャラでした。
 ゲイ特有のはっちゃけっぷりと、身も蓋もない下ネタ&毒舌が痛快な一方で、ゲイである自分と社会との壁に、どうしようもなく悲しい気分になる…。でも、彼女たちは強かだ。「人は罵られて強くなるのよ」というバーナデッドの言葉は含蓄が感じられましたねー。
 衣装も見ていて楽しいですよ。ビーサンで作ったドレスとか、エリマキトカゲドレスとか、どんな発想だ!? BGMも往年のディスコソングで、改めて聴くとこの頃の曲はキラキラしていて楽しい。
Posted by pareidolie21
映画(海外) / 23:39 / comments(0) / -