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散 漫 帖本と映画と妄言と
蜘蛛巣城(黒澤明監督/日本)
2009.10.20 (Tue)
シェイクスピアの『マクベス』を、戦国時代に置き換えた作品。
映像でシェイクスピア作品を観よう、第二弾。 『マクベス』を戦国時代に置き換えた作品、ってだけしか知らずに観たのですが、これは凄かったです。 原作と比べると、省略している部分があったり、設定が違う部分もあるのですが、概ね原作通りです。また、イギリスから日本の戦国時代に置き換えていますが、違和感はないです。 ああ、それにしても、鷲津武時(マクベス)の妻である浅芽(マクベス夫人)は恐ろしかった…! 能面みたいなメイクといい、淡々とした語り口といい、闇に響く衣擦れの音といい、森の中の妖婆よりもののけめいてます。夢に出てきそうなくらい、インパクトがありました。山田五十鈴=浅芽になりそう。 三船敏郎の表情も、凄かったなぁ。何より、目が! こんなにギラギラしている目をした俳優は、もういないだろうなぁ。観ているこっちも、熱に浮かされそうになります。有名らしい、全身に無数の矢を射られて死ぬラストシーン、本当に凄まじい顔なんですが、本物の矢を使ってたそうで(しかも三船には内緒で)。監督も恐ろしいけど、多分途中で気付いただろうけどそのまま演技した三船も恐ろしいよ。 そういう有名なシーン以外で印象に残ったのは、森で妖婆に出会った後、砂嵐の中をひたすらさ迷っているシーン。これはやはり、予言を聞いて心が揺れる様を描いたのかな。凄く不安になるシーンでした。あと、鷲津から招待された三木(マクダフ)の家で、普段大人しい白馬が暴れるシーンも、不吉さ全開でした。原作にはないけど、作品に漂う陰惨な感じが良く出ている。 ただ、ところどころ音が割れて聞き取りづらいところがあって残念。日本語字幕の設定で観れば良かったなぁ。 余談で…この作品を観た後、原作の設定を考えると、マクベス夫人ももしかするとマクベスの心が生み出した幻想のようなものなのか? と思ってしまった。 椿三十郎(黒澤明監督/日)
2008.07.29 (Tue)
陰謀にはめられた大目付の小父を助けるべく集まった、若き侍達。気ばかりはやって上手い作戦が思いつかずまごついているところへ、一人の浪人が助っ人に入る。口は悪いが頭は切れる、その上凄腕の剣の達人の名は椿三十郎といった… 黒澤作品は何故か現代モノや文芸モノばかり観ていて、代表作の時代モノは観たことがありません。『七人の侍』を観ようと思ったものの、長すぎるのでこちらに。一時間半とお手頃な作品。 三船敏郎演じる椿三十郎ばかり見ていたせいで、肝心のストーリーを忘れてしまいましたよ。いやー、こういう無頼な役が似合うなぁ。出てきてものの一分足らずで目が離せなくなってしまう、強烈な魅力を持つキャラクターでした。 周りの脇役達も、クセモノ揃い。おとぼけ者の捕虜(押入れの人)や、旦那以上のタヌキじゃないかと思われる奥方、イライラしっぱなしの敵方老中などなど、ちょっとしか出てこないけれど良いアクセントになっています。 ストーリー自体は割と単純だけど、見せ方が上手いので夢中になります。演出や演技は昔の映画っぽいですが、面白さは古びていないと思います。 白痴(黒澤明監督/日)
2008.03.21 (Fri)
ストーリーは原作とほぼ同じですが、二時間半かけてあらすじをなぞるのがやっと、という印象は拭えません。二時間半であの話を片付けろというのが無茶だし。せめて二倍の長さがあれば、もう少し掘り下げられただろうに…と思うと残念。 でも、原作の面白いところばかりを取り上げているので、ダイジェスト版として見る分には楽しめるかと思います。 役者陣、結構豪華ですが、特筆すべきは那須妙子(ナスターシャ・フィリポヴナ)を演ずる原節子。原節子というと、小津作品での楚々として物静かな美しい女性というイメージが強く、ナスターシャは違うんじゃないかと思っていましたが…見て吃驚。原節子の演技しか覚えていないくらい凄かったです。壮絶に美しい。 ゆれる(西川美和監督/日)
2007.12.23 (Sun)
凄い作品でした。 それまで諍いもなく仲の良かった兄弟が、一つの事件をきっかけにお互いの信頼を揺さぶり、揺さぶられる物語。 詳しく書くとネタバレになるのでよしますが、怖い話でした。ホラーよりよっぽどホラーに感じたのは、より身近でありながら見えなかったり、見ないでおいたりしているものを描いているからなのだと思います。精神分析の症例の怖さによく似ている。 信じている相手から裏切られたくなければ、相手の信用を試しては絶対にならない。 けれど、その思いが強ければ強いほど、裏切られる怖さも強くなり、相手を試してみたい誘惑も強くなる。 きっと、そんな矛盾の中で二人は揺れていたんだと思った。どうでもいい仲の兄弟だったら、こんなにややこしいことにはならなかったんだろうなぁ。 構成、演出がしっかりしていて、最後の最後まで気が抜けません。綺麗な画面ですが、それにより内面の渦が際立っていたように思います。 俳優陣、いい仕事してました。オダギリジョーと香川照之は全然兄弟に見えないだろ、と見る前は思っていたけど、見ている時は全く違和感がありませんでした。 楽しい話ではないですが、とても良い作品でした。この監督、次はどんな話を撮るんだろう…とても気になる。 天国と地獄(黒澤明監督)
2007.12.19 (Wed)
二時間半に及ぶ長編でしたが、誘拐の電話が入った辺りから画面に釘付け。 誘拐が起きてから子どもが戻ってくるまでは主人公の葛藤と身代金の受け渡しにハラハラドキドキし、その後警察の捜査が始まってからはエンタメっぽくワクワクし、最後のシーンでズドーンときます(長嶋監督ばりに擬態語だらけでスミマセン)。熱く、そしてシビアな男達のドラマ。 出演者、メチャメチャ豪華。三船敏郎、仲代達矢は勿論ですが、犯人役の山崎努の演技が凄かったです。 でも、警察が犯人を突き止めたのに、すぐには捕まえない理由が納得いかず…。一方的な正義感による考えにも思えるし、司法の倫理からみても、どうなんだろう。話としては、分かりやすいんだけど、何かなぁ。 そういや、黒澤作品って有名どころは殆ど見ていないな。名作と言われると、かえって見るのがためらわれますが、これを機に他の黒澤作品も見たくなりました。 かもめ食堂(荻上直子監督/日)
2007.12.17 (Mon)
ふしぎー、な作品でした。 恐らく、「何かしら意味があって、それに心揺さぶられたい」時に見たら、何だコレと思ったに違いないけど、「ただひたすらボーッと画面を見ていたい」時に見ると、いいなぁと思える。今回は、後者でした。 ストーリーも、あるようなないような…。この三人が、何故フィンランドに来たのかも良く分からない。でも、分からなくてもいいやーと思ってしまう。普通ならそこをもっと深く追求するだろ、ということがサラーッと流れてしまい、でもそれが心地いいのです。 ストーリー云々よりも、出てくる食べ物がひたすら美味しそうでよだれがじわーっと出てきます。シナモンロールを作っているシーンは、シナモンが大嫌いなのに、美味しそうで仕方がなかった…! あともシャケを焼いているシーンも! ご飯と酒が欲しい! 食いしん坊には堪らないなぁ。 この気分はきっと、旅している時の気分に近い。帰りたくないなーと思いつつ、でも期間があるからこそまったり出来る。旅に行きたいけど、時間もお金もないよという時にどうぞ。 |